【解説】ホームユーステストとは?
更新日:2025.01.09
ホームユーステストは、消費者が自宅で実際に商品を使用し、その体験や感想をフィードバックする調査手法です。特に新製品の開発や改良において、消費者のリアルな反応を把握するための貴重な手段となります。自宅での使用環境や日常生活の中で得られる意見は、店舗での一時的な評価とは異なり、より実践的なインサイトを提供します。
本コラムでは、ホームユーステストの概要、メリットやテスト時の製品提示方法等について解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
目次
1.ホームユーステストの概要
2.ホームユーステスト(HUT)と会場調査(CLT)の違い
3.ホームユーステストのメリット
4.ホームユーステストのデメリット
5.ホームユーステストにおけるテスト製品の提示方法
6.まとめ
1.ホームユーステストの概要
ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)とは、調査対象者の自宅に商品サンプルを送り、普段の生活の中で一定期間、実際に商品を使用し、その体験や感想を収集する調査手法です。調査対象者は、自宅というリラックスした環境の中で、自分のペースで商品を試すことができます。
ホームユーステストは、食品や飲料、化粧品、日用品など、様々な商品カテゴリーで幅広く活用されており、商品開発やマーケティング戦略に直接反映させるための有効な手段として、多くの企業で導入が進んでいます。
例:新発売の化粧品を1週間試用してもらい、使い心地や効果などを評価してもらう
2.ホームユーステスト(HUT)と会場調査(CLT)の違い
商品テストの手法として、ホームユーステスト(HUT)と並んで挙げられるのが会場調査(CLT:Central Location Test)です。会場調査は、調査対象者を特定の会場に集めて、商品を試用してもらう調査手法です。
ホームユーステストが調査対象者の自宅で商品を一定期間自由に試用してもらうのに対し、会場調査は調査会社が用意した会場で、調査員の指示のもと、決められた手順で試用してもらいます。そのため、会場調査では、すべての調査対象者に同じ条件下で商品を試用してもらえるため、客観的なデータを得やすいというメリットがあります。
例:新しい炊飯器をテストする場合
ホームユーステストでは、消費者が自宅で普段通りに使用する一方、会場調査では、水分量、
お米の種類等の同じ条件下で炊飯器を試用してもらい、客観的な性能評価を行う
3.ホームユーステストのメリット
ホームユーステストは、新商品の開発や既存商品の改善において非常に有効な手法です。以下で主なメリットについて解説します。また、次章のデメリットと合わせて理解しておくと良いでしょう。
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本音に近い感想が聞ける
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継続利用ならではの意見が聴取できる
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ファンになる可能性がある
3.1.本音に近い感想が聞ける
ホームユーステストの特徴は、対象者が実際の日常の使用環境に近い状態で試飲・試食・試用する点です。実際の使用環境における商品の良さ、必要な機能、不要な機能などを知ることができ、よりリアルなフィードバックを得ることができます。また、家族がいる場合、その家族の意見も聞けるため、幅広い視点からの評価を得ることが可能です。
3.2.継続利用ならではの意見が聴取できる
会場調査がその場で試用して終わるのに対して、ホームユーステストは数日から数ヶ月にわたって継続利用をします。そのため、飽き・耐久性といった、継続利用ならではの得られる情報を集めることができます。
3.3.ファンになる可能性がある
調査期間中に商品を継続利用していただくことで、調査対象者が商品のファンになる可能性があります。繰り返し使用していただくことで商品の良さを知り、市場投入後に商品を購入したり、商品の良さを積極的にプライベートで発信してくれる可能性があります。
4.ホームユーステストのデメリット
ホームユーステストを活用するデメリットを解説します。
以下のデメリットを軽減するためには、十分なサンプル数の確保、シンプルな手順の設計、情報取り扱いの徹底した指示、綿密な計画と管理が必要です。
4.1.途中離脱の可能性および調査への認識の差異
対象者と対面でのやり取りがないため、製品送付後に連絡が取れなくなるなど、途中離脱のリスクがあります。長期間の試用が必要な場合、離脱のリスクはさらに高まります。また、個人の使用感や感覚が異なる点や対象者の環境や案内の認識の行き違いによって発生する差異には 注意が必要です。
4.2.情報漏洩のリスク
ホームユーステストでは、発売前の新製品や試作品を消費者の自宅に送付するため、情報漏洩のリスクが伴います(対象者がSNSに掲載する等)。特に、競争の激しい業界や革新的な技術を含む製品の場合は、情報漏洩は企業にとって大きな損失となる可能性があります。そのため、秘密保持契約の締結や製品の取り扱いに関する厳格なルールを設けるなど、情報管理を徹底することが重要です。
4.3.テスト環境の一貫性の欠如
消費者はそれぞれ異なる生活環境で商品を使用するため、全ての調査対象者に同一条件、同一環境で試用してもらうことは困難です。そのため、使用環境の違いによる評価のばらつきが生じる可能性があり、結果の解釈には注意が必要です。また、ユーザーが指示と異なる方法で試用する可能性もあります。
5.ホームユーステストにおけるテスト製品の提示方法
ホームユーステストにおけるテスト製品の提示方法には、ブラインドテストとブランデッドテストの2つがあります。これらの提示方法は、調査の目的や知りたい情報に応じて選択します。
以下の表は、それぞれの特徴を比較したものです。

6. まとめ
ホームユーステストは、消費者の日常生活における製品使用体験を直接把握できる貴重な調査手法です。リアルな使用環境での長期的な評価が可能であり、製品開発やマーケティング戦略に有益なインサイトをもたらします。一方で、環境の一貫性や情報管理などの課題もあります。調査目的を明確にし、適切な提示方法を選択することで、より効果的な結果を得ることができるでしょう。
また、当社でもホームユーステストの実施および実施補助を行っております。
ご希望の方、ご相談の方は、HP下部よりお気軽にお問い合わせください!
また、次回のコラムもお楽しみください!
